体力に自信がない方へ：心が軽くなる『デジタルサポーター』の始め方
体力に自信がない方もできる「デジタルサポーター」という選択
定年退職などを機に、これまでとは違う形で社会と関わりたいとお考えの方、人の役に立つ活動に興味がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、体力に自信がなかったり、「自分に何ができるだろうか」と迷ったりして、なかなか最初の一歩が踏み出せない、というお声もよく耳にします。
そのような方にご紹介したいのが、「デジタルサポーター」としてのボランティア活動です。これは、スマートフォンやパソコンの操作に困っている方々（特に高齢者）をサポートする活動で、専門的な知識がなくても始めやすく、体力的な負担もほとんどありません。そして何より、活動を通じて「心が軽くなる」ような、温かい繋がりや生きがいを見つけることができる可能性を秘めています。
デジタルサポートボランティアとは？
デジタルサポートボランティアは、主に以下のような活動を行います。
- スマートフォンの基本操作サポート: 電話のかけ方、メッセージの送り方、カメラの使い方など、日常でよく使う機能の操作方法を一緒に確認します。
- パソコンの基本操作サポート: インターネットの使い方、メールの送受信、文字入力など、基本的な操作をお手伝いします。
- オンラインサービスの利用サポート: 地域の公共施設の予約方法、行政手続きに関する情報検索、家族とのオンライン通話の方法などを一緒に練習します。
- 公民館や図書館でのデジタル講座補助: 講師のアシスタントとして、参加者の操作練習をサポートしたり、個別の質問に対応したりします。
これらの活動の多くは、椅子に座って行われます。重い荷物を運んだり、長時間立ちっぱなしになったりするような体力が必要な作業はほとんどありません。
体力に自信がない方にとっての魅力
デジタルサポートボランティアが、体力に不安がある方にとって始めやすい理由はいくつかあります。
- 身体への負担が少ない: 活動場所は公民館や図書館、地域の集会所など、屋内の施設が中心です。移動距離も少なく、活動中は座っている時間が多いため、身体への負担は非常に軽微です。
- これまでの経験が活かせる: 現役時代にパソコンを使った経験がある方はもちろん、そうでなくても日常生活でスマートフォンを使っている方であれば、その経験が必ず役に立ちます。「教える」というよりは、「一緒に考える」「分かるところを伝える」という姿勢で十分です。
- 学びながら参加できる: 最初から全てを知っている必要はありません。分からないことがあれば、活動団体のスタッフに聞いたり、他のボランティア仲間と協力したりしながら、一緒に学んでいくことができます。活動を通じて、ご自身のデジタルスキル向上にも繋がることもあります。
デジタルサポート活動で心が軽くなる理由
この活動は、体力的な負担が少ないだけでなく、精神的な充足感や社会との繋がりを強く感じられる点で、心を軽くする効果が期待できます。
- 「ありがとう」が心の栄養に: 操作が分からず困っていた方が、サポートを通じて「できた！」と笑顔になったり、「ありがとう、助かりました」と感謝の言葉を伝えてくれたりする瞬間に立ち会うことができます。人の役に立っているという実感は、何物にも代えがたい喜びとなり、自信や生きがいを取り戻すきっかけになります。
- 新しい知識や発見: デジタル技術は日々進化しています。活動を通じて新しい情報を得たり、普段使わない機能を知ったりすることで、ご自身の世界が広がる新鮮な体験ができます。学ぶことに終わりはありません。
- 共に活動する仲間との出会い: 一緒にデジタルサポートに取り組むボランティア仲間との出会いも大きな魅力です。共通の目的を持つ仲間と交流することで、孤独感が和らぎ、新たな人間関係が生まれます。活動中の悩みや喜びを分かち合うことは、心の支えとなります。
- 社会との繋がりを実感: スマートフォンやパソコンの利用は、現代社会で生活する上で不可欠になりつつあります。デジタルサポートは、そのような情報社会から取り残されがちな方々を支援する、非常に社会貢献性の高い活動です。ご自身の活動が、地域社会の一員として貢献できているという実感が得られます。
どのように始めてみたら良いか
「デジタルサポーターになってみたいけれど、どうすれば良いか分からない」という方もいらっしゃるでしょう。最初の一歩は、決して難しくありません。
- 情報収集から始める: まずは、お住まいの地域の社会福祉協議会やボランティアセンターのウェブサイトを調べてみましょう。「デジタル」「パソコン」「スマホ」「IT」といったキーワードでボランティア募集情報を検索してみてください。
- 地域の施設に問い合わせる: 公民館や図書館、地域包括支援センターなどが、デジタル講座や相談会を実施している場合があります。こうした施設に直接問い合わせて、「ボランティアを募集していますか？」と尋ねてみるのも良い方法です。
- 説明会や研修に参加する: ボランティア団体や自治体によっては、活動を始める前に説明会や簡単な研修を用意している場合があります。こうした機会に参加して、活動内容を詳しく聞いたり、雰囲気を掴んだりすることから始めてみましょう。専門知識がなくても参加できる、初心者向けの研修も多くあります。
- 無理のない範囲で参加登録する: 最初は週に一度、月に一度など、ご自身のペースで無理なく参加できる頻度で登録することをおすすめします。活動を続ける中で、少しずつ参加を増やすことも可能です。
完璧な知識やスキルは必要ありません。「誰かの困りごとを、できる範囲でお手伝いしたい」という気持ちがあれば、それが一番の力になります。
まとめ
体力に自信がないためボランティアを諦めていた方も、デジタルサポートという分野であれば無理なく参加できる可能性があります。座ってできる活動が多く、これまでの人生経験や基本的なデジタル操作の知識が役に立ちます。
「ありがとう」の言葉に触れ、新しい仲間と出会い、社会との繋がりを実感することで、きっと心が軽くなり、日々の生活に新たな彩りが加わるはずです。
「難しそう」「自分にできるだろうか」とためらう必要はありません。まずは一歩、お住まいの地域のボランティアセンターや地域の施設に問い合わせてみることから始めてみませんか。あなたの持つ温かい気持ちが、誰かの大きな助けになります。